『それぞれの終焉』(5)<ある美少女の結末>

ガラステーブルを挟んで、舞子が意識的に信也の情*を呼び覚まそうと媚態を作ってい
る姿を、温くなってコップの底に半分ほど残ったアイスコーヒーを飲みながら見ていた信
也は、舞子の目論見が何処に在るのか理解し得なかった。が、懸念をそのままにして、着
ていた白色のTシャツを素早く脱いで足元に落とすと
***

舞子は自分が敷衍した術中に、既に信也が填まっていることを確信した。舞子の僅かに
汗ばんだ頬には、微かな笑みがこぼれた。
「まだ、いかないの。」。舞子は冷淡に、信也の乱れた髪に差し入れた両手の指に力を
込めて言った。やがて信也は、汗に塗れた裸体を一瞬ぴくりと緊張させると、舞子の上体
に崩れた。
舞子にとって信也の心情は、飼い慣らした犬のように簡単に蹂躪できた。
「今日の*ックスは、良かったよ。」
愚かにも信也は素直な感想を語った。今の信也にとっては快感が全存在を意味していた
。信也が、舞子の企図に気付くには、女性の心理を動かす根幹を理解する必要がある。
「信也さん、この辺で、麻耶と二宮さん別れさせた方がいいと思わない?」
舞子は、左足の踝に小さく固まって纏わり付いていた薄いブルーのショーツを無動作に
剥ぎ取ると、ドレッシングルームへと発った。その後ろ姿を媾合の後の汗に塗れて倦怠し
た逞しい身体に、床に落ちていたTシャツを着終えて、先程までいた椅子に戻っていた信
也が、怪訝な眼で追った。
窓の外は、真夏の遅い夕暮れが始まっていた。信也の目の先にある寝室への出入口の鴨
居の上のベージュ色に彩色された壁面に掛けられた時計の針は、6時に近かった。

舞子のマンションを出た信也が、S市郊外の閑静な住宅地に立つ自宅に帰り着いた時に
には、妹の麻耶は自宅には居なかった。信也が、渋谷のシティーホテルに入る麻耶と浩一
郎を見届けた時刻は3時を僅かに回ったところだった。既に時刻は、7時を過ぎている。
信也は、舞子の部屋で希しく感受した舞子の麻耶に対する心情が想起され、脳裡にこび
り付いた。まさか麻耶は、心底から二宮に惚れたのではないかと、愚直な信也は思ったが
、以前に麻耶に二宮との関係を質した時、「ただ、おぢんに遊んで遣ってるだけ」と麻耶
が答えた台詞を思いだし、安堵した。しかしながら、何故、舞子が麻耶と二宮を別れさせ
ようと考えている理由は、理解するには至らなかった。

ropponngi01.jpg

渋谷のシティーホテルの端然とした一室のベッドの上に仰臥し、突然、襲来した激痛に
胸を掻き毟りながら苦悶している浩一郎を目前にしてホテルの客室係を呼び寄せた麻耶は
、足早に駆けつけた係の者に浩一郎の連絡先を告げた後、救急車が呼ばれた事を確認する
と、密かにホテルを抜け出した。これは、激痛に耐えながら浩一郎が、恰も命令するよう
に言った「急ぐ、ここを出るんだ」との言葉に従った行動でもあったが、麻耶自らの羞恥
心がそうさせた事でもあった。
ホテルを出た麻耶は、浩一郎の様態を危惧しながらも自宅への帰路を急いだ。麻耶の娜
かな足は、灼熱の真夏の太陽に焼かれ、雑踏に踏み締められた歩道を無意識の内に、疾駆
していた。渋谷駅の東横線のホームに立った麻耶は、既にホームに入っていた車両に、茫
然と乗り込んだ。短絡な思考しか持ち合わせのない、17歳の麻耶は、現実に起こってい
る事実を直視し、現実に自分が関係した事態として熟考し、全容を認識しようとはせず、
逃避するように言訳の言辞を探した。確かに、浩一郎の突然の発作は、麻耶に直接関係し
たことではなかったが、少なくとも責任の一端がないとは言えなかった。
「自分に責任ではない。」と麻耶は自分に言い聞かせた。しかし、もし自分が苦しみ喘
ぐ浩一郎をこの胸に優しく抱き寄せたなら、どんなにか浩一郎も安らいだろうか、とも考
えた。電車の車窓に映る景色は、竦然とした麻耶の意識の裡にあって、明瞭な像は結ばな
かった。






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『それぞれの終焉』(4)<ある美少女の結末>

乃木坂を降りきった所に、そのマンションはあった。居間では、広いガラステーブルを
前にして、西田舞子がアイスコーヒーの入ったグラスを口紅を落とした薄い唇に運びなが
ら少女コミックを読み耽っていた。舞子が横たわったソファーの長椅子の脇には、すでに
読み終えた少女コミックが数冊散らかっている。西側に面した窓からは、真夏の遅い夕暮
れの陽射しが、白いレースのカーテンを透かして差している。
コーヒーのグラスを一口飲んだ舞子は、玄関の来訪者を告げるインターフォンの鳴る音
を聞いて、玄関に向かってソファーを発った。来訪者が朝倉信也であることは、舞子には
分かっていた。

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玄関の鉄製のドアを閉めた信也は、舞子に続いて居間に来た。信也は、居間の応接テー
ブルの前まで来る間に被っていた、黒色のドライバーズキャップをダイニングテーブルの
上に投げ出していた。僅かに日焼けした信也の精悍な顔には、大粒の汗が浮いていた。居
間の中央に置かれた応接セットの一人掛けの椅子に信也は座り、ベージュ色のコットンパ
ンツの後ろポケットから出した赤地のバンダナで、顔の汗を拭い取ると、ガラステーブル
を挟んで、正面の長椅子に座った舞子に言った。
「麻耶と二宮は、渋谷のTホテルに4時前に入ったよ。」
「やっぱりね。最近、よく会ってる見たいよ。あの二人。」と、スリムで野性味を感じ
させる舞子が、含み笑いを浮かべて言った。

彼女は、昨日は仕事の都合で学校を休んでいた。

最近、コマーシャルやテレビドラマなどに出演する機会が増えていた舞子は、学校でも
麻耶と長い時間話す機会が持てず、会っても簡単な挨拶で済ませていた。それには、別の
意味合いも含まれている。単純な狡猾さに長けていた彼女は、素直で開け透けな麻耶の性
格に嫉妬し、麻耶の若さの中に熟した女の色気を感じさせる肉体を恨んでいた。確かに、
浩一郎に麻耶を紹介したのは彼女であり、麻耶と浩一郎が深い関係に成る事によって、仕
事の上でも自分にとって有利に働くのではないか、との打算があった。
キッチンに発っていた信也が、アイスコーヒーの1リットル入りの紙パックとグラスを
抱えて、居間に戻り、舞子の空いたグラスに冷えたコーヒーを注ぎながら、
「俺、ここ2ケ月ほど二宮をつけ回してるんだけど、彼奴、最近、随分疲れてるみたい
だな。平日も日曜も無いみたいだ。それに比べて、麻耶は生き生きしてるよ。麻耶も、相
当の額を二宮からもらってるみたいだしな。」と、何気無く言った。長椅子に横たわって
信也に、薄いスカイブルー色のキャミソールだけを、草原に寝そべる雌ライオンような野
生的な上半身に纏った身体を向けた舞子は、勢い良く身体を起こして長椅子に座ると、自
分のグラスにもアイスコーヒーを注ぎ終えて、そのグラスを口に運んでいた信也を見詰め
て、
「あ、そう。もうそろそろ、いい頃ね。ねえ、信也さん。麻耶にいい彼氏いないかしら
。二宮さんには、麻耶を喜ばせる事はできないわ、生理的にね。だって二宮さん、あんな
に痩せてるし、それに、奇麗な奥さんがいるのよ。わたし知ってるんだけど、奥さんの父
親は、Aテレビ局のチーフプロデューサーよ」と、信也の心理を探るように、言った。

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 言い終えた舞子は、ガラステーブルの上のアイスコーヒーを一口飲むみ、ゆっくりとした
動作で、座っていた身体を伸ばして、横向きに寝そべると、キャミソールの裾を左手で引
き挙げて、堅く締まった右の*房を揉み始めた。
舞子の下半身を包んでいるのは、シルク素材の薄いブルーの、白色の複雑な模様のレー
スで縁取りされたビキニのショーツだけだった。今まで*房を揉んでいた左手が、ショー
ツのウエストを潜って、大きく息づく**に触れた。











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posted by coolboy at 11:55Comment(0)再掲載

『それぞれの終焉』(3)<ある美少女の結末>

この年の5月の初めに西田舞子に紹介されて、次の日曜日の午後に渋谷のシティーホテ
ルの一室で、最初の朝倉麻耶との*体関係を持った二宮浩一郎は、3ケ月を経た今までに
、20回近い逢瀬を重ねていた。浩一郎は、麻耶の若い敏感な*体の虜になっていた。麻
耶の官能に敏感な*体は、妻の信乃の繊細で優雅な*体からは獲ることのできない快感を
浩一郎にもたらした。それは、北極点を目指した冒険家が、あらゆる過酷な自然条件を克
服して辿り着いた末に、初めて獲られる至福感に似ていると浩一郎には思えた。

---この時、浩一郎と17歳の朝倉麻耶は渋谷のデートの度に使っている、いわば定宿
となったシティーホテルの1室にいた。麻耶は、伸びやかな肢体に淡いピンク色のシルク
のビキニショーツを穿き、豊かな乳房を顕わにしてダブルのベッドの上に神経質そうな痩
裸体を横たえている浩一郎の左脇に、官能的な裸体を仰向けに天井の1点をじっと見つめ
て横たわっていた。その仰向けになった麻耶の頭の下には、浩一郎の細い左腕があった。
向きを変えて傍らに寝ている麻耶に裸体の正面を向けて寄り添い、麻耶の僅かにショー
ツだけで被った若さ故に官能的な下腹部にそっと手を乗せた浩一郎が、憔悴した声で言っ
た。
***************************:


六本木2.jpg


「ううッ。麻耶 救急車を呼んでくれ。胸が苦しい。電話だ。・・急いで。さあ、君は
、服を着るんだ。そうしたら、すぐにこの部屋を出るんだ。・・・いいな、すぐにだぞ。
それに、女房の信乃を呼んでくれ、・・ここに。・・まず、119番だ。急いで・・・。
」と激痛に苦しみながら、切れ切れに浩一郎は言った。
「どうしたらいいのわたし。何があったの浩一郎さん。」
慌てた麻耶は、ベッドの脇のサイドボードの上にある電話機を取り上げて、フロントを
呼び出して、浩一郎の様態を伝えた。受話器を戻した麻耶は、急いでベッドの足元に丸ま
って置かれていたシルク素材の薄いピンク色のショーツを取り上げて穿いて淡いブルー色
のブラジャーで豊かな乳房を包んで、クローゼットの前まで行った。
ベッドの上の浩一郎の胸の痛みは、極限にきていた。蒼白な顔からは、バケツに入った
水を一気に浴びたように絶え間なく夥しい汗が溢れていた。
サマーニットの、体型を際立たせて見せるTシャツにブリーチオフのスリムなジーンズ
を穿き終えてベッドに戻った麻耶は、裸体を押し曲げてばたばたと激しく動揺させて胸を
掻き毟るようにして苦しんでいる浩一郎の傍らに寄り添って、浩一郎に白色の木綿のブリ
ーフを穿かせながら、
「頑張って、浩一郎さん。すぐに、すぐに誰か来るわ。ねえ、わたし、どうしたらいい
。」
「苦しい。何とかして呉れ、麻耶。・・・。いや、麻耶、ホテルの者が来たら、僕の名
前を言って、信乃に電話させるんだ。それだけでいい。そうしたら、誰にも気附かれない
ように、ここを出るんだ。判ったか、麻耶。」と、悲鳴に近い、叫ぶような声で、絶え絶
えに浩一郎は言った。
---ホテルの客室係の二人の若い女性が、急いで、それでいて落ち着き払った様子で、
部屋に入ってきた。ベッドの上では、正座に組んだ麻耶の太腿の上に、もがき苦しむ浩一
郎の汗に塗れた蒼白な顔があった。麻耶の流した涙が、浩一郎の乱れた黒髪を濡らしてい
た。
「お客さん、どうなさったのですか」と、客室係の若い方の愛嬌のある顔立ちの女性が
言った。顔を挙げて、涙を堪えるように息を詰まらせて麻耶は、
「突然、胸を押さえて苦しみ始めて。わたしには、何にも分からないわ。」と言って、
苦しむ浩一郎の頭を静かにベッドの上に移すと、ベッドを降りて、クローゼットの前に行
った。浩一郎は、なおも苦しみ、突き上げてくる激痛に耐えながら呻いていた。浩一郎の
身体に手を添えていた年嵩の客室係が、宥めるように、
「もうすぐ、救急車が来ますから。頑張って下さい。お客さま。」と、冷然とした表情
で言った。
クローゼットから浩一郎の、薄いブルー色のブレザージャケットの内ポケットから社員
証を出した麻耶は、客室係に浩一郎の連絡先を告げた。








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